
「日本書紀」によると、飛鳥時代、百済から仏舎利とともに僧、寺工、画工、瓦博士が送られたと伝えられています。 その際に一緒にもたらされたのが「せん(中国でのレンガの呼び名)」であり、日本のタイルの先駆けです。 その後は、製陶技術は発達していきましたが、建築材料としての焼き物は少なく、屋根瓦や敷瓦として寺院建築の床に、また腰瓦として壁などに用いられたぐらいだったのです。
本格的にタイルが普及を始めたのは実は明治時代に入ってからのことなのです。 西洋館が数多く建てられ、床や暖炉まわりにもタイルが使われました。 現在の湿式タイルの原点であるれんがの国産化は明治初期のことです。 タイルを大量に使った建造物として最初にあげられるのは、大正2年に完成した東京駅でしょう。 また大正10年に完成した帝国ホテルに刺激を受け、外装タイルの新建築が次々に建てられました。
一方、内装用のタイルもモダンなイメージと衛生志向の後押しによって普及が始まりました。 温泉地の大浴場や飲食業の建物に始まり、デパート、映画館、地下鉄の駅など、近代的なものの登場とともにタイルも装飾に一役買い、凝った表現が大衆に受けました。 一般の木造住宅では、風呂場、流し場、便所などに使用され始め、衛生概念の刷新により、生活改善運動の一端を担いました。